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FujiiTomohiro Photography Diary

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プログラムAE

フィルムにしてもデジタルにしても、一眼レフを手に入れてカメラの機能がわかってくると、おそらく多くの方が撮影モードを絞り優先AEかマニュアルにされると思います。
またはスポーツや乗り物など、動体を撮る方ならシャッター速度優先AEでしょうか。
カメラ雑誌でも、「絞り優先AE活用術」のようなハウツーが紹介されることもあります。
プログラムAEで写真に入門しても、上達してきたら被写界深度を自分でコントロールしましょう、というものです。

たしかに被写界深度のコントロールは難しく、単純に絞りを開けてボケ量を多くする、絞ってボケ量を少なくする、だけでなく、レンズの焦点距離や被写体とカメラの距離、さらに被写体と背景や前景との距離も関係してきます。
しかもレンズの焦点距離でパースペクティブ(遠近感)も変化しますから、その中でどのような写真に仕上げるか考えるとややこしくなります。
もしかしたら、絞り優先AEは相当な上級者が使うモード、と思っているビギナーの方もいるかもしれません。
「私はまだまだプログラムAEで十分」
「そろそろプログラムAEから卒業したい」
そんなことを考えている方もいるかもしれません。

プログラムAEは写真入門用のモードというイメージが強いと思います。
ところが私は、スナップではプログラムAEを基本にしています。
オランダは仕事の都合上、絞り優先AEでしたが、タイでも香港でもトルコでも長崎でも基本はプログラムAE。
被写界深度やレンズの特性を重視した場合のみ、絞り優先AEを使用します。
私がプログラムAEを使用していることは、デジタルカメラマガジンで紹介されましたし、現在発売中の日本カメラ誌内でも(桃井一至さん、小澤太一さん、吉住志保さん、私の4人の座談会)、私がプログラムAEを使用していることが載っています。

プログラムAEを使う理由は、ずばり絞りとシャッター速度の設定から解放され、シャッターを切ることに集中できるからです。
現在のAF一眼レフの多くは、レンズの焦点距離や距離の情報が電気信号でボディ側に伝わるため、カメラが最適な絞りとシャッター速度の組み合わせを選んでくれます。
その値を見て、問題なければそのまま撮影。もっと被写界深度を深くしたい、あるいはシャッター速度を速くしたい、となれば、プログラムシフトを使用します。

フランスの歴史的な写真家であるアンリ・カルティエ=ブレッソンは、生前にNHKのインタビューで
「写真をダメにするのはカメラの自動化だ」
と語っていましたが、私は自動化も良いと思います。自動化されていたからこそ撮れた作品も数多くあるので。

プログラムAEはビギナーだけでなく、被写界深度やシャッター速度を理解しているエキスパートにも積極的に利用してもらいたい撮影モードです。


作品は2007年度の月刊カメラマンのカレンダーに使用された作品。トルコのイスタンブールです。大雪と寒さで何度も集中力が途切れそうになりましたが、それを救ってくれたのがプログラムAE。おかげでブルーモスクの前を走って過ぎ去る人物の一瞬をとらえることができました。キヤノンEOS-1D Mark II とEF28〜70mmF2.8Lで撮影。撮影モードはもちろんプログラムAE。この作品は私のホームページのGalleryにも載せています。
プログラムAE_c0030685_2083465.jpg

by fujiitomohiro | 2008-06-16 20:08 | トルコ Turkey
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フォトグラファー、藤井智弘。「近所から海外まで」街を歩いて写真を撮っています。(公社)日本写真家協会(JPS)会員。お仕事のご依頼はホームページのフォーム、またはTwitter、InstagramのDMからお願いいたします。


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